『愛着障害』とは、幼少期の養育者(主に親)との安定した情緒的なつながりが上手くいかなかったことによって、その後の対人関係や感情調整に困難を抱える状態を指します。専門的な用語では『反応性アタッチメント障害』と言います。
「愛着」(アタッチメント)とは、特定の人との間に築かれる心理的な絆、特に幼い子どもが育つ環境において安心して養育者に甘えたり、守られたりする情緒的な結びつきです。この愛着が安定していると、自分は人に愛され大切にされる存在であり、人は信頼できる存在であるという基本的な対人関係が育まれ、その後、人間関係を築く上での基盤となります。
愛着形成の失敗は、その子どもが成人してからも対人関係に影響をもたらします。様々な対人場面(恋愛、友人、婚姻、職場等)で不健全な応答パターンを繰り返してしまい、当事者は苦しんだり、困難を経験しがちです。
愛着障害の主な原因は、幼少期に子どもが養育者から虐待(身体的、心理的、ネグレクト)を受けたことによるものです。養育者が情緒的に不安定だったり、養育者が敏感に子どもが発するサインに気づけず不適切な応答を繰り返したり、養育者が頻繁に結婚・離婚を繰り返し家族の形態が不安定であったり、養育者の過度な干渉や過保護、養育者の長期入院や別居による不在などがあげられます。
愛着障害の症状の現れ方は様々ですが、代表的な特徴としては以下の通りです。
【幼少期】
・親の顔色を過剰に伺い子どもが親に対して常に気を使う
・うまく甘えられずにいつも我慢をしてしまう
・逆に親に対してほとんど関心を示さず近づかない
・誰それ構わず過剰にしがみつくように甘える
・親や大人に対して攻撃・反抗的な行動を取る
【思春期〜成人期】
・人を信頼できない、逆に依存し過ぎてしまう
・見捨てられ不安が強く、相手にしがみつく
・感情の起伏が激しい、逆に感情鈍麻で感じにくい
・対人関係の不安定さ
・自尊心や自己肯定感の乏しさ
愛着形成が不安定な人は、対人関係が長続きせずに同じパターンで終わってしまう傾向があります。不安が高く一人でやり過ごすことが難しいため、依存的になりがちで、相手を支配しようとしたり、逆に付き合いを億劫に感じて無関心であったりする場合もあります。どのような距離感で人と付き合ったら良いのか分からないため、信頼感に基づく関係性の構築が難しくなりがちです。また、家庭や職場で周りの人の機嫌を損ねないため、自分のニーズや違和感を押し殺して常に迎合してしまうパターンもよく見られます。自分の対人関係のパターンの見直し、そして愛着の最形成に向けてカウンセリングを通して探ってみることは、対人関係を安定させていくことに繋がります。
カウンセリングサロン@ease 新倉佳久子
